実名匿名仮名顕名 : #twitterconf @oritakoのプレゼン感想

テンプレ

第2回Twitter研究会の感想(≠まとめ)です。
発表そのものはustとかtogetterとか転がってると思うので適当に探して見てください。

プレゼンの内容

実名を名乗るか、ニックネームを名乗るか。Twitterにどんなことを書くか。
そうしたことに気をつけていても、Twitterからはいろいろな情報を読み取ることができます。
一旦サービスを使い始めれば、投稿の有無、投稿の時刻、投稿元のデバイスなど、利用者は無意識に様々な情報を自分から公開しています。

今回は、そうした意図的もしくは無意識に発信される情報について整理しつつ、それらによってもたらされるメリットを活かし、意図せぬトラブルを避けるための使い方について検討します。

ID制は匿名ではない

 twitterを筆頭に、ライフログサービスで日々発信されている膨大な情報からは、様々な意味を読み取ることが出来る。

 例えばpostしている時間が少ない時間帯は寝ているのだろう、とか、土日は発言が少ないから遊びに出かけていることが多いのだな、とか。

参考
Twitter Charts : http://www.xefer.com/twitter/

 あるいはオフ会の会場と「今出発した」postや沿線情報などを組み合わせると大体の居住地が特定できる可能性がある。foursquareとかロケタッチなどのソーシャルジオメディアを使っているユーザの場合はもっと簡単に特定できる。bioに実名所属書かれてました、なんてケースは言わずもがな。


 2ちゃんねるではトリップやコテハンを使わずに利用している間は、IDという「仮名」と「発言ログ」の紐付けが1日でリセットされる。つまり24時間分のログからしか「中の人」に到達することができない*1。一方twitterなどでは自動的に仮名がリセットされるというようなことがないので、利用すればするほど「中の人」に到達される率が高まってしまう。常時コテハンで情報を垂れ流しているようなもの。*2


 そういうわけでIDは匿名でなく仮名、と考えると「中学生だけど喫煙」とか「2週間通いつめて小説読破するよ」とかあまり気軽に変なことは言えなくなることが分かる。センシティブな話題で議論、会話したいのであれば、むしろ2ちゃんねるの方が適切な空間で有ると言えるかもしれない。


 ここまでの教訓を一言で言えば「仮名は、使い込むほどに『中の人』との紐付けが強力になる。」ということになるだろう。まあ、ここまでは一般的なことだ。が、この話を聞いて私が気になるのは、個人情報を垂れ流すことによって人間関係を構築・維持している層のことだ。

個人情報の晒しあい≒信頼の表明という文脈

 ここで想定しているのは次のような人たちだ。「学校や職場に不満があるので、ネットで結縁して新しいコミュニティに【現実世界でも】繋がりたい」と思っているような人々だ。このような人たちは、「中の人」に到達されたくないはずだが、新しいコミュニティに参加するために、「中の人」に到達されるヒントとなるような個人情報を差し出す必要がある。おいくつなんですか、何線で帰るのですか、土日はお休みとれるの、この夏は実家に帰ったりしました?といった質問を重ねることで、かなり色々なことが分かる。


 このような質問に正直に答えれば答えるほど個人情報が引き抜かれるわけだが、その人個人の欲求としては、新しいコミュニティに所属したい、という欲求があるわけだから、リスクを犯して情報を差し出さざるを得ない。毎回適当なことを喋る人、みたいなキャラ設定にすることもできるけど、それだと長期的な関係が結べる割合は下がる。


 なんていうと、極端な例に感じられるかもしれないが、では出会い系に例えてみたらどうだろう。自分に都合のよい相手を探すためには、信頼されるためには、写真を出したり、大体の居住地を公開するなりしなければ、なかなか良い相手と出会うのは難しいだろう。では会いましょうという段階になれば、お互いが会うのに都合のよい場所を交渉するために、自分の情報を更に提示しなければならない。休日や定時などの、勤退情報も引き出せる可能性がある。この例え話をオフ会に置き換えてみれば、もう少し身近に感じられると思うのだが、どうだろうか。


 信頼できない奴に個人情報を漏らすのはアホwというツッコミをするのは簡単だ。が、「信頼したから話した」のだし、なぜ信用してしまったのか、と問うのは基本的に無意味だと私は思う。加えてそもそも相手は騙そうとしていない、悪意が無くても、個人情報の晒しあい≒信頼の表明という文脈の中では、個人情報を晒さざるを得ない。自分の信条とは別に、相手があることなので、相手がある程度それを求めてくる場合には、ある程度応じなければならない。


 そういう奴と付き合うなアホがw というツッコミもナンセンス。付き合いたい、が先にあるのだから。自分からリスクに目を瞑って事故りに行くものは耐えない。また、仮名と匿名の区別がついていないと、そもそもリスクが認識できない。そういう人を情弱と笑うのも簡単だが、お金やコミュニケーションへの渇望は、経験が少ない若い世代にありがちなことのように思う。


 そもそもネットだけで話せばいいじゃんw出会い系とかwwwクズwww 的なツッコミは誠にごもっとも。だけど、そこまで達観できるほど、「普通の人々」は人生捨てられないのですよね。

解答例

 じゃあどうすればいいのって、そのような中でトラブルを起こさないために、いくつか、思いついた対処法、解答例を書いておく。

 1つは気をつけながら発信しましょう、だけど、まあこれは普通みんなやってるしやってても死ぬときは死ぬので、言っても言わなくてもいっしょ。

 1つは発信しない、非公開な場所でのみ話す。燃える素材がなければ発火しないのでどうということもない。

 1つ、大量にブラフの情報を発信する。燃えにくい素材を間に噛ませておけば本体に延焼するまでに逃げられるのでどうということもない。

 1つは中の人バレしても問題ないくらい、コミュニティの中心人物になること。多少燃えても信者がカヴァしてくれるのでどうということもない。

 1つは中の人バレしても問題ないくらい、普段から「何も持たない」こと。職も家族も居なければ延焼先がないのでどうということもない。

 1つは燃えても気にしない。全ては認識の問題なので、火だるまになっていても気にしなければどうということもない。

*1:もちろんIPなどの情報は裏に残っているので、そういう意味のリスクは変わりません

*2:情シス系の人にはアカウント・プロビジョニングの話です、必要以上に長いライフサイクルのアカウント用意してるとセキュアじゃないですよね、とか説明した方が解り良いかもだけど。