禍福共有装置としてのtwitter : #twitterconf @tksakakiのプレゼン感想

テンプレ

第2回Twitter研究会の感想(≠まとめ)です。
発表そのものはustとかtogetterとか転がってると思うので適当に探して見てください。

プレゼンの内容

Twitterの持つリアルタイム性を生かし、キーワードと時間的な近さを生かしたリアルタイムなイベント検出の手法、 さらに位置情報を元にしたイベント位置推定手法について提案、実システムの紹介します。 また、派生研究として Twitter上でのイベント伝播の特徴について紹介します。

twitterで禍福を共有しよう

 人間がtwitterでpostする行為をセンサーに見立て、地震や虹が観測された場所を地図と紐付け可視化するサービスを研究しておられるらしい。この試みそのものはさまざまに応用できそうだ。


 この技術そのものは間違いなく面白い。が、それ以上に私が面白い、と感じたのは、「虹」や「地震」の情報を共有すると、私自身が「なぜ面白いと感じたのか」ということだった。一言で言えば、「身内の幸せや不幸(イベント)を共有するサービスはウケる」ということなのだけど。


 このテーマを説明するのに便利な例えは、MMO、ネットゲームだろうか。私はネットゲームはぶっちゃけると、チャットソフトだと思っている。ゲームの部分は、チャットのネタとなる共通体験を提供しているに過ぎない、と。これまで面識のない誰かが出会って会話をするためには、共通の話題が必要になる。今日混んでますね、とか○○の狩り場美味しいけど行ってみた?とかそういうことだ。


 これをなしにチャット空間を作ろうとすると、話題別に部屋を作るなどしてユーザを振り分けてやる必要がある。もちろんそういう戦略もあるけど、これだと人気のない話題の部屋は閑散としてしまうし、第一完全に「待ち」の戦略になってしまう。


 共通の話題がなければ会話は始まらないのは現実でも同じだ。天候や災害、事件などは、共通の話題として使える可能性が高い。だから「暑いですね」「雨ですね」とかから会話を始めるのことはある種のテンプレになっている。だから「使える」。


 そういう意味で言えば、冒頭「身内の幸せや不幸(イベント)を共有するサービスはウケる」と書いたが、本当はむしろ逆なのだと思う。「幸せや不幸(イベント)を共有したから身内になれる」のではないだろうか?そして、身内になるために、それらの話題を使う。こう逆転させて考えるとスッキリ理解できるように思うのだけど。


 この仮説が正しいとして、この共通体験、会話のネタを作り出す役割は、ちょっと前までテレビが担っていた。昨日のドラマ見た?とか今朝のニュース見た?とかそういう切り出しは、メディアが共通体験を担保していたからこそ可能になる。今でも映画やドラマ、アニメなど、いくつかの分野ではこの力は健在だ。また昨今では有名サイト、ブログ、あるいははてなホッテントリとか、Mixiニュースとか、こういうメディアがその役割を果たしている。


 ところがテレビ的な話題提供型メディアにも弱い側面がある。テレビ的なメディアは、語られる内容は統制できても、語られる場所は統制できないということだ。この両方を抑えると、一回顧客が根付くと長期にわたって顧客を囲い込むことが出来る。顧客同士を結び付かせ、身内同士にすることで、集団から抜けにくくすることが出来るからだ。twitterはこの、顧客を相互に縛り付ける場として現状、強力に機能しているように思う。


 語られる場所が既に出来あがっている場合には、そこに住む人々が便利に引用しやすい共通体験を作ってあげればよいので、比較的少ない力で顧客を根付かせることができるのではないだろうか。虹ったーや地震ったーはこれになりうる。だから面白い、と思うのだけど、どうだろう?