私訳:能力のない人へ
inspired by 能力のない人へ - Chikirinの日記
アドバイス4つ
アドバイス1)正体を見せるな
考える能力が無いと思う場合には、愚考を開陳してはならない。他人に愚か者と思われることは幸せなことではないでしょう。
アドバイス2)他人を羨むな
仕事の効率が悪いものは効率化の禍根を断て。仕事にのみ邁進せよ。効率が求められるのは、仕事以外の「何か」をする時間を捻出するためだ。ただひたすら仕事に打ち込み、「何か」の存在を知ることがなければ、羨む気持ちもなくなるだろう。
アドバイス3)他人の意見は踏み台とせよ
他人が良い意見を出した場合、これは踏み台にして自尊心を守るチャンスと思え。「合成の誤謬だ」「前提条件のブレだ」というような反論不能の攻撃はあなたに一方的な勝利をもたらす。相手の意見が素晴らしければ素晴らしいほど、それに勝利したあなたは更ににその上を行く存在と言えるだろう。
アドバイス4)自己啓発本に乗っかれ
自信が足りないと思ったら、他人の思想に乗っかろう。自己啓発本を読め。有名な著者の本を読むこと、そのポジティブな思考をコピーすること。それをしている間だけは、不思議な全能感に守られることになる。うまくいかなくても「間違った自己啓発本」を読んだせいだとしておけば心の平穏は保たれる。
圧縮
以上4つは1つのアドバイスに総括できる。それは「鏡を見るな」ということだ。鏡を歪め、無視し、自分にとって都合のよい自分を鏡に映そう。そうすれば心の安定は保つことが出来る。
他人は自己を映す鏡だ。鏡に正しく映さないよう、鏡像を歪めよう。
自己は他人を映す鏡だ。鏡の真似をしなければ、独り自由に生きられる。
他人の意見を踏み台に他者を過小評価しよう。対比で自分が大きく見える。
鏡に映っている自分の姿が誰かのコスプレなら、自分本人は傷つきにくい。
鏡を見なければ、どんな不細工もその醜さに気づかないでいられるだろう。そしてそれはきっと、とても心安らかなことだろう。
鏡を看よといふは、反省を促すの語也。されどまことに反省し得るもの、幾人ぞ。人は鏡の前に、自ら恃み、自ら負ふことありとも、遂に反省することなかるべし。
鏡は悟りの具ならず、迷いの具なり。一たび見て悟らんも、二たび見、三たび見るに及びて、少しづヽ、少しづヽ、迷はされ行くなり。